教職調整額を引き上げ
こうした実態が生じる原因の一つとして、公立学校の教員には残業代が支給されないことがある。残業代の代わりに月給の4%相当を上乗せして支給する制度「教職調整額」があるが、「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない」(5月13日放送のNHKニュース番組)と問題視されてきた。
教員のなり手不足の深刻化にともない、国は対策に乗り出しつつある。文部科学省は教職調整額を月給の13%相当に引き上げる案を25年度予算概算要求に盛り込む。学級担任への手当は月額3000円、管理職手当は月額5000~1万円増額することを検討している。新卒1年目は学級担任を免除することや、生徒指導担当の全中学校への配置も検討している。各自治体の教育委員会レベルでも取り組みが行われている。10月11日付「FNNプライムオンライン」記事によれば、熊本市教育委員会は、教職を離れている教員免許を持つ人を対象とする「ペーパーティーチャー講習会」を開催したり、教職に関心を持つ大学生を学校に派遣して学習の補助などにあたらせて謝礼金を支払う「学校教育アシスタント事業」を行ったり、大学から推薦された者の1次試験を免除する「大学推薦制度」を導入したりしている。