史上最大の「陸生哺乳類」とは誰なのか?

現生種の中でいうとアフリカゾウが最大の陸生哺乳類であり、全長6メートル、体重5〜7トンとなっています。

しかし2021年に、中国北西部の地層からとんでもないモンスター級の陸生哺乳類の化石が発見されました。

それが「パラケラテリウム・リンシアンス(Paraceratherium linxiaense)」というサイ科の動物です。

パラケラテリウム属はユーラシア大陸を中心に約3600万〜2400万年前まで存在した角のない巨大サイの一群で、P. リンシアンスは同属の中で6番目に見つかった新種となります。

サイ科ではあるものの、首が長くて足も細長く、どちらかというとウマに近い見た目をしていました。

P・リンシアンスの復元イメージ
P・リンシアンスの復元イメージ / Credit: Tao Deng-Ancient giant rhino was one of the largest mammals ever to walk Earth(2021)

パラケラテリウム属の平均的なサイズは体長7メートル、体重11〜20トンとされていますが、P. リンシアンスは体長8メートル、体重24トンというモンスター級の体格だったと推定されています。

これは体重だけでいうとアフリカゾウの3〜5頭分とほぼ同じ重さです。

また研究者は「木の葉っぱを食べるために後ろ足で立つと、その高さは7メートルに達したでしょう」と話しています。

P. リンシアンスの大きさは現代のゾウやサイとは比べものにならず、現時点では「地上を歩いた史上最大の哺乳類」と考えられるでしょう。

このように過去の地球には、私たちの常識を超えるほど小さな、あるいは大きな哺乳類が存在しました。

近年では他にも、シロナガスクジラの2倍も重い哺乳類まで見つかっています。

詳しくはこちらをご参照ください。

地球史上最も重い新種生物の化石を発見!なんとシロナガスクジラの2倍

参考文献

The Smallest Mammal In The World Lived 53 Million Years Ago

New Fossil Reveals One of The Largest Land Mammals Ever Found, And It’s a Rhino

元論文

An Oligocene giant rhino provides insights into Paraceratherium evolution

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。