後から振り返って、診断が間違っていたことなど、決して少なくない。発症初期に診断が難しい病気などたくさんある。それをこのような形で血祭りにあげれば、医療現場は委縮して、救急医療やリスクの高い診療科を回避するような動きにつながると思う。リスクの高い診療科に進むよりも、手軽にお金が稼げる診療科に進む人が増えてきて当然だ。現に、形成外科、美容外科に多くの医師が流れている。

人間は必ずミスはするし、記憶容量にも限界がある。すべての病気を一目見て間違いなく診断するという非現実世界を夢見て、このように大騒ぎすれば、医療現場はそれに耐えきれず、日本の医療は破綻する。

悲しい不幸が起こったことは残念だが、それで一人の医師や医療機関を責め立てる日本のメディアは本当にレベルが低いと言わざるを得ない。医療現場をどこまで理解しているのか、疑問符が頭の中で渦を巻いている。もっと日本の医療の抱える大きな課題を直視して、どうすればミスを最小限にして、日本の医療の質を高めることができるのか、日常的に真剣に勉強して欲しいものだ。

最後に、亡くなられた16歳の方には心からご冥福をお祈りしたい。

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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。