そこに至る経過に注目をして声をかけることに特徴があるようです。マラソン大会を例にとってみます。長谷さんは次のように言います。

「お子さんが一番になったら、ほめることはできますね。『頑張ったね!一番だったね! すごいね』と。しかし、百人中百番だったらどうでしょう。ほめることは難しいですね。しかし、勇気づけのかかわりだと声がかけられるのです。『最後まで走りきったね』『途中、一人抜いたよね』『腕の振りがかっこよかったよ』など」(長谷さん)

ほめるは応用がきく

ほめるは、子供だけではなく大人のマネジメントにも効果があることをご存じでしょうか。

部下に仕事を任せるには的確な指示が必要になります。すくなくとも、「いま何について話しているのか」を相手に理解できる状態にしておくことが大切です。

脈略のない話はストレスを与えます。伝え方の一つに、キーセンテンスを明確化してワンフレーズで伝える方法があります。これは「一言でいうと~である」と簡潔に整理して伝える方法です。何を話すかが頭の中で明確化されていないとワンフレーズに収めることはできません。

最近の流行で、「ホメて」伝えるものがあります。しかし、ほめる技術は簡単ではありません。「今回のここが良かった」「前回は○○でよくなかったけど今回は合格」など基準を明確化することが大切です。意外と相手の心には響かないことがありますが、そのような時こそ、キーセンテンスを明確化してワンフレーズで伝えなければなりません。

本書は子供をもつママ向けに書かれています。ですが、事例がわかりやすいので大人がマネジメントに応用することも可能です。

マネジメント本や組織本のなかには難解で役に立たないものが少なくありません。あなたの部下にご自愛レッスンしてみてください。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?