国民民主党も自公連立には加わらないといっています。その結果が「過半数割れのままの自公政権」、「過半数を超えた野党」であれば、これは衆院におけるねじれです。予算案、安全保障、教育、持続可能な財政運営などの対立で、案件ごとの部分連合で処理していこうとすると、少数政党の要求を丸呑みすることになりかねず、財政はどんどん膨張し、財政危機は深まる。

石破首相が選挙目当てに「13兆円を超える補正予算」に、「手取増」を掲げた国民民主党が要求する「電気・ガス・ガソリン代の補助、消費税5%への引き下げ、給付付き税額控除」などを加えたら、財政は破綻まっしぐらでしょう。

来月前半の首班指名選挙で、国民民主党は自民党に乗るのか、立憲民主党に乗るのかを明らかにしていない。「せっかくの与党を過半数割れに追い込んだのに、自公に乗れば裏切りだ」となり、来夏の参院選では敗北が待っていましょう。玉木代表は「首相指名選挙では、決選投票でも玉木雄一郎と書く」という。決選投票は石破対野田でしょうから、「玉木票」は法律上、無効となり、石破氏が首相となる。それも民意に対する裏切りとなります。そこで「政策連合」を持ち出すのでしょう。

衆参の間には、すでにねじれが生じています。参院は自民(114)、公明(24)で、定数248の過半数を占めています。野田首相が誕生しても、自公が多数派の参院で否決される法案(予算案は衆院優位)が出てくるでしょう。来夏の参院選で野党がまた大勝できるでしょうか。

新聞各紙の社説をみると、朝日は「石破首相が続投を表明した。国民の信を失ったままでは、政権の継続は至難の道だ」と、退陣要求を示唆しています。読売は「大敗した石破首相がとるべき道は明らかだ。速やかに進退を決すべきだ。政権に居座ることは許されない」と、もっと強硬な要求です。

朝日は野田首相を待ち望んでいるのでしょう。読売は逆に、石破首相に代わる誰か(自公政権)を望んでいます。「速やかに」というのですから、首相指名前に代わりを選べというのでしょうか。そんなことをしても、内閣不信任案を出されれば、それで新首相は終わりです。高市氏を総裁にしたら安倍政治に逆戻りです。石破首相のまま、しばらく政局の推移を見守るしか手はないのでしょう。