少し前、大手ハンバーガーチェーン「マクドナルド」の店員とみられる人がインターネット上に「店員がムカつく注文5選」という内容を投稿し、一部で話題を呼んでいる。「5位:朝にトマトトッピング」「4位:大量オーダー」「3位:朝メニュー終わるちょっと前にウーバーとか頼む」「2位:お肉のシーズニングカット」「1位:ポテト(塩抜き)のオーダー」という内容だが、実際にこうした注文は店員にとっては腹立たしいものなのか。また、マクドナルドの厨房はどのようになっているのか。元従業員の声などを交えて追ってみたい。

 マクドナルドは全国に約3000店を展開。モスバーガー(約1300店)、ロッテリア(約300店)、バーガーキング(約200店)を大きく引き離し、店舗数ベースでは圧倒的なハンバーガーチェーン業界1位であり、国内外食チェーンとしても1位だ。

 それゆえ、全国のクルーと呼ばれる店舗従業員の人数は膨大で、その数は約20万人に上る。店舗従業員をめぐり最近話題となった事柄としては、髪色の自由化があげられる。マクドナルドはクルーと呼ばれる店舗アルバイト従業員の「髪色」「つめ」「ユニフォーム」など身だしなみに関して「アピアランスポリシー」で基準を定めている。例えば「清潔感のある髪型」や「接客のプロとしてのメイク」を義務づけている。これらはお客へ不快感を与えないためのものだが、料理への異物混入を防ぐ目的で「装飾品は身につけない」「ひげをきれいにし、もみあげは短く清潔に」といったルールも定められている。マクドナルドは9月、同ポリシーの一部を改訂し、髪色を自由にした。

 注目すべきは、その効果の大きさだ。テスト導入をした天王寺北口店(大阪府)では、今年4月には昨年よりも約3倍の人数のクルーを採用することができ、クルーの人数が昨年同月比で30人以上も増加したという。

非常に従業員に優しい職場

 学生時代などにマクドナルドでアルバイト店員として働いた経験のある人は少なくないが、どのような職場環境なのか。元マクドナルド店員はいう。

「厨房のオペレーションや体制は店舗によって異なるようです。私がいた店舗の厨房は、バンズを焼いてソースを塗るまでの係、バンズにパティや具材を挟んでラッピングするまでの係、パティを焼いたり具材を用意して補充する係に分かれていました。店長が全体をみながら、『そろそろパティのストックが切れるから50個焼いておこうね』などと指示していきます。『マックフライポテト』はカウンター係が揚げて補充していました。イメージとしては工場のベルトコンベヤーのような感じで、どこかの係で作業が滞ると全体に影響が出ます。係ごとに分担が分かれていますが、誰かが忙しいと他の人がその人の担当分までやったりと柔軟に対応して、お互いにサポートし合っていました。

 レギュラーメニューに関しては、どのバーガーに何を入れるのかを働き始めて最初の段階で教わるので、厨房担当の店員はみんな頭に入っています。期間限定メニューは、調理するレーンの上に作り方が表示され、それを見ながら作ります」

 マクドナルドの店舗を訪問すると、従業員が忙しそうに働く光景を目にすることが少なくない。

「土日の12~14時、平日の18~20時などのピークタイムは息つく暇がないほど忙しいです。ですがアルバイト店員として入るとトレーナーがマンツーマンで丁寧に教えてくれて、わからないことがあると従業員同士が教え合うという文化が定着しており、非常に従業員に優しい職場だと感じました。お客さんから『商品の具材が違う』などとクレームを受けても、店長が対応してくれるので、アルバイト店員が直接、そのようなクレーム対応をやらされるということはありませんでした。なので、時給は最低賃金並みであるものの長く働くアルバイトさんも多いようです」(同)