参考までに、1948年の国連総会決議194の第11条には、「パレスチナ難民の故郷への帰還の権利」が明記されている。イスラエルはパレスチナ難民の帰還の権利を拒否しているが、1949年に創設されたUNRWAはウェブサイトで、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とは異なり、出身国への帰還を含む難民に対する永続的な解決策を模索する」と述べている。イスラエルがUNRWAに対し批判的なのは、UNRWAがパレスチナ難民の帰還の権利を認めていることもある。

イスラエル軍の軍事攻勢が終わった後、ガザを如何に統治するかは現時点では不明だ。UNRWAの今後の役割も不確かとなった。問題は、破壊されたガザに住むパレスチナ人たちの今後だ。ガザは破壊され、4万3000人余りのパレスチナ住民が犠牲となった。「ハマスの奇襲テロ」、そして「イスラエル軍の報復攻撃」は余りにも多くの犠牲をもたらした。「戦いには勝利者はない。敗者だけだ」というが、ガザの現状はその実例だ。

最後に、私見を少し述べたい。UNRWAの活動が禁止された場合、パレスチナ人への支援をどうするかだ。そこでアラブ圏が主導して「ガザ奉仕活動隊」を創設する。そのメンバーはアラブ語ができ、イスラエと外交関係を有する国出身者(例・ヨルダンやエジプト)から優先的に募集する。雇用者は国連だ。希望者は1年、2年の契約を結んでガザのパレスチナ人を支援し、医療、学校を運営する。参加者の能力、キャリアによって給料は変わる。失業中の若くて優秀なアラブ人が参加すれば、出身国の失業対策ともなるはずだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。