それから粒子が大きくなるということはそれだけ重くなりますから、地上に落ちてくるのも早くなります。
またエアロゾル粒子は凝集して大きくなるほど、光の反射率が落ちてしまうのです。
その点、ダイヤモンド粒子は互いにより集まることもなく、十分な期間、成層圏に留まって均一に拡散し、地球の気温を効果的に下げられるとのシミュレーション結果が示されました。
具体的な数字を挙げますと、幅約150ナノメートルのダイヤモンド粒子を1年ごとに500万トン散布することで、地球の平均気温を約1.6°C下げられるとのことです。
最大の難点は「値段」
しかしダイヤモンドの散布には最大の難点があります。
それはすでに皆さんもご想像のように、コストがかかりすぎることです。
チームの試算によりますと、ダイヤモンド粒子1メガトン(100万トン)につき約60万ドル(日本円にして9000万円)がかかるといいます。
つまり、1年で500万トンを散布するということは年間で約300万ドル(約4億5000万円)かかり、これを何年も継続していくとなるとコストが兆を越えることになるのです。
これはとてもじゃありませんが、持続的な方法とはなり得ません。
この結果を受けて、研究主任のサンドロ・ヴァティオーニ(Sandro Vattioni)氏は「私たちの研究はむしろ、地球温暖化の解決策として成層圏エアロゾル注入(SAI)がいかにほど遠いものであるかを示すものとなった」と話しています。
そのため、ダイヤモンドを空に撒き散らすよりかはまず、温室効果ガスを世界的に削減することが最重要となるでしょう。
それでも温暖化が止まらないときの最終兵器として、ダイヤモンド粒子の散布がなされるかもしれません。
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参考文献
Injecting Diamonds Into The Sky Could Cool The Planet, Study Says
https://www.sciencealert.com/injecting-diamonds-into-the-sky-could-cool-the-planet-study-says