27日の総選挙の暫定結果を紹介する。ボイコ・ボリソフ元首相が率いる中道右派連合GERB-SDSが第一党となる見込みとなった。世論調査機関ガロップ・インタ-ナショナル・バルカンとアルファ・リサ-チの予測によれば、GERB-SDSは有権者の25.1%から26.4%の支持を集めた。一方、リベラル保守派の連合PP-DB(「民主主義的ブルガリア」)は14.9%から15.4%で2位につけた。両連合はブルガリアの欧米寄りの方針を維持し、ロシアの侵攻を受けたウクライナへの支援を続ける意向だ。両連合は過去1年にわたって正式な連立協定なしで共同統治してきたが、改革、人事、腐敗対策などを巡る対立が原因で崩壊した。
今回も同様の連立が成立するかは27日の投票日夜の段階では未定だ。安定した多数派の新政権には時間がかかると見られている。3度首相を務めたボリソフ氏は投票時、「人々は政府に、安定、そして安全を求めている」と述べ、主要政党との協力に前向きな姿勢を示した。一方、PP党首のキリル・ペトコフ氏はボリソフ氏への協力を拒否し、「保守派のボリソフ氏と連携するつもりはない」と既に述べてきた。
ボリソフ氏は「(親ロシア派の)復活党を除く全ての議会政党と話し合う用意がある」と発言する一方、「イタリアのマリオ・ドラギ氏のように無党派の首相を任命する」というPP-DBの提案を拒否し、「それは有権者の意向を無視するものだ」と反論している。
ブルガリアでは2021年の反汚職デモによって当時のボリソフ政権が崩壊して以来、政治的に不安定な状態が続いている。2025年のユ-ロ圏加入申請やEUからの巨額の資金割り当てを危うくする可能性が出てきたのだ。
ちなみに、政権の不安定を煽り、勢力を拡大しているのは極右「復活党」だ。復活党のコスタディン・コスタディノフ党首は27日、「ブルガリアは外国の干渉を受けず、独立した国であるべきだ」と述べ、ブルガリア・ファ-ストを標榜している。GERBは復活党との連携に関心を持っているが、EUのブリュッセルやワシントンは復活党が参画した新政権の発足には批判的であることもあって、これまでは一定の距離を置いてきた。