同じように左派として分類されることが多いれいわ新選組は、日米地位協定を抜本改定することを公約にしていたが、特に平和安全法制についてはふれていない。基地周辺の犯罪問題などがあり、地位協定改定の方が具体的な意味が想定しやすい公約である。新興の政党であるため、2015年当時のしがらみを持っていない、という点も自明である。
ガザ危機を憂慮した対応などにおいて、れいわ新選組の議員と並んで、共産党の議員の方々の中には、熱意がある方が少なくない。共産党の方々が、現在進行形の国際問題にも関心をお持ちであることがうかがえる場面に何度も出くわしたことがある。しかし党として国際問題に取り組んでいる、というイメージは、あまり持たれていない。むしろ憲法学通説の絶対性を前提にした憲法論に拘泥しているという印象が強い。
私自身は、もともと日本国憲法は集団的自衛権を禁止していない、という立場である。それを主張するために、平和安全法制成立の後の数年で、著作を何冊か出した。私の学説に納得さえしてくれれば、集団的自衛権違憲論と引き換えに、憲法改正の必要はなくなる、というのが私の立場である。国際問題に関心を持ってくださる政党の存在は貴重であるだけに、集団的自衛権違憲論の主張は、私個人は、非常に残念である。
年齢別の投票行動を示す資料を見ると、共産党は高齢者層の方に強く、れいわ新選組は若年者層の方に強い。衆議院選挙をへて、非自公政権の可能性も出てきただけに、平和安全法制の取り扱いについて各政党に柔軟な思考がありえたら、それは日本にとって望ましいと私は感じている。
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