S&P 500はようやく調整した。ここもとの急速な金利上昇がようやく株式市場に影響を及ぼしはじめ、水曜に指数は大幅に調整した。
もっとも指数の調整は25SMAに当たったところで反転し、週後半にはTSLAの好決算もあって雰囲気が一度好転した。金曜には指数は再び5800台に載せたものの、そこでは週末の地政学リスクやGAFAM決算週を前にしたヘッジが再び入り、結局週足は陰線で終わった。
先週の記事では「今すぐじり高局面が終わることにベットするほどではないが、仮に5804がブレイクされればそれまでの過去最高値が週足レジスタンスに転じるだろう」としていたが、水曜に5804をブレイクした後、金曜の反発がレジスタンスになった過去最高値の5878の手前で折り返したことを完璧に予言できたことになる。
長期金利の大幅な上昇はリスク要因としてかねてから指摘されてきた。7月FOMCでFedのデュアル・マンデートが復活して以来、株式と債券の逆相関が帰って来たのは以前に指摘した通りである。つまり長期金利上昇が景気後退リスクの剥落に伴うものである限り、株式指数は2022年の「株式の債券化」レジームに逆戻りするものではない。
それでも限度というものがあり、特に金利の水準はともかく、その不確実性まで上がってくると株式指数の不確実性に波及しても仕方がない。
GSは歴史的には10年金利が1ヶ月で2σ以上の上昇を見せた時株式指数は下落しやすいとする。特にそれが実質金利ベースなら大幅下落に繋がる。2σは今だいたい60bpに当たり、ここまでの1ヶ月で既に50bpは上昇したため、だいたい以前の記事で超えないだろうとしていた4.3%を突破すると株式指数のクラッシュを伴いやすいだろう。
ここまで来ても米金利そのものは基本的に懸念していないが、荒れるとすれば意外と日本銀行の決定会合直前のリークがきっかけとなり得るか。