電話番号を求める社会

しかし、社会生活を送ると電話番号は持っていて当たり前、持たないことは許さないと感じる場面は少なくない。

たとえばフリーメール、SNSなどオンラインサービスのアカウント作成には電話番号の登録が求められる。そうしなければ、botで無限大にアカウントを作る人が現れ、迷惑行為に歯止めがかからなくなるからだ。Eメールは誰でも無制限に持つことができるが、電話番号は簡単には増やせない。だからオンライン上の本人確認のIDとして機能している。

だが本人名義のクレジットカード登録などを義務化すればこの問題は解決できないだろうか?「それをするとクレジットカードを持たない人が困る」と反論がありそうだが、電話番号を持っている時点で大体クレジットカードを持っているし、そもそもITサービスのアカウントは国民全員に無条件の利用権利が与えられている公共サービスではない。実際、不正利用をすればアカウントはBANとなることからも、使用者は一定の規範を求められる。サービスの秩序維持のためにも、クレカ所持のハードルの高さは電話番号所持のハードルの高さとそれほど大きな違いはないと思える。

電話番号は必要な場面はITサービスに限らない。アミューズメント施設の会員登録、ホテルの予約、賃貸物件契約時などありとあらゆる場面で電話番号が必要になる。電話番号を持たないと社会生活は不便極まりない。だが、電話番号を教えると望まざる通話を呼び込むことになる。通信状態をONにしている限り、電話はなる。なんとかならないだろうか?

前払い決済で解決?

契約やサービス利用時に電話番号の登録を求められる理由は、万が一にも後払い代金を取りっぱぐれないようにといざとなれば追跡する目的で取得するのだろう。であれば、前払い決済をすることで登録を回避できないだろうか?

たとえばアミューズメント施設はクレジットカード決済はどうか?カラオケやボーリングなど、何時間利用するかは不確定だがクレジットカード番号を事前登録すれば、仮に客が受付を逃れて帰ってしまっても問題にはならない。高校生など、クレジットカードを持たない相手のみ番号登録を求めればいい。また、ホテル宿泊も同様だ。予約時点でクレカ決済の前払いをして、現地精算を選んだ顧客からのみ電話番号を取得するようにすればいい。

電話番号は厄介だ。これがないと社会生活で大変不便になってしまうが、いざ取得すると様々なリスクを呼び込む入口になる。理想としては全部前払いをするから番号を提出しなくてもOKとなることで、そうすれば電話番号を持たずに済む。

昔は電話がなれば、気の置けない友達からの遊びのお誘いの可能性があってワクワクしたが、最近では着信音がなると一抹の不安しかない。重要な相手はLine通話で十分である。電話番号を持たずに生きられる社会の到来を望む。

 

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