この変化が日本に刺激を与えている、そんな気がするのです。「1円でも安く自転車で隣の駅のスーパーまで行く涙ぐましい努力」は昭和のおばさんの絵図でもう流行りません。平成世代はコンビニ育ち、そしてコンビニの価格は決して安くないけれど便利をお金で買うという発想になっています。
平成後期になると自分で作ったり買いに行くことすら億劫になり、外食や出来合い、更には配達がごく普通の光景になります。その為にサービスに多少のお金がかかることも厭わない、それが新しい付加価値のビジネスを生み出しつつあるわけです。
ではこの解釈が正しいとするならば「日はまた昇る」とまでは言わないまでも昼寝をしていたウサギは別の意味で覚醒しつつあるのかもしれません。つまり、消費者がお金を使うこと、次いで企業が儲けを賃上げ原資として従業員や社会に還元すること、そして日銀がマネーをじゃぶじゃぶにするのではなくて国民が「お金が世の中を廻っている」と実感すること、これがキーであります。
こう言っては怒られるのですが、2021年に亡くなった人は150万人弱。無一文で亡くなる方もいますが、ある程度の財産が残っている人は多いものです。相続税が発生したケースは9.3%ですが、大なり小なり相続税が発生しない範囲での相続があった人もそれなりに多いはずで、そんなお金も世の中に廻ってきた感じがするのです。つまり別の意味での世代交代です。特に不動産で節税効果を利用した相続も結構あるはずで、それらの土地や不動産が今後、現金化されれば数字以上の消費余力が生まれます。
正直言うと日経平均は日本を代表する225銘柄の株価を指数化しただけです。私が時々いう「指数相場」というのは例えば外国人や機関投資家が全上場銘柄のうちこの225銘柄だけを買えば、日経平均は上がるのでそれをみて提灯相場(他の銘柄も上がりそうだという雰囲気が醸成され、指数に採用されていない銘柄にも買いが広がること)が起きやすくなります。今は残念ながら外国人が主導する指数相場なのですが、これも一種の黒船状態だと考えれば「株って上がるんだね」という意識を持つ初心者が増えてくれればよいのです。
では最後に今年、日経平均は史上最高値、38915円87銭を超えるか、ですが、私は分からないと答えておきます。理由は外国人マネーはドライなのです。それこそ、マネーが世界一周旅行しているようなものです。今は経済不振の中国投資から引上げた逃避マネーが日本に入っていることが後押ししていることも事実です。ただ、日本で儲けて次は欧州とか、アメリカに回帰とかいろいろあるわけです。大事なのは日本の経済が本質的に改革改善され、REBORNしたな、と実感することです。そうすれば史上最高値どころか、4万数千円になってもおかしくないでしょう。ここからは日本経済の足腰が問われる、そういう相場付きになってくるかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月23日の記事より転載させていただきました。
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