伸びるHV・PHV
そんなEVの失速を尻目に販売が伸びているのが、エンジン車のなかでもハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)だ。前出・ACEA調査の24年1~6月の欧州の新車販売では、HVは前年同期比21.2%増と好調。米調査会社マークラインズの発表によれば、HVの23年の世界販売台数は前年比31.4%増であり、22年の同15.2%増から伸び幅が大きくなっている。
こうした動きはHVに強い日本の自動車メーカーにとっては追い風だ。トヨタ自動車は24年3月期決算が過去最高益になった要因として世界的なHV販売の好調をあげているが、トヨタの今年1~6月の米国におけるHV販売台数は前年同期比66%増の41万台となっており、トヨタの北米販売に占めるHV比率は3割にも上っている。米国HV市場でのトヨタの販売シェアは実に6割近い。
自動車メーカー関係者はいう。
「EV普及には政府による充電ステーションの拡充と購入補助金が不可欠であり、補助金については欧州ではすでに打ち切り・縮小が進み、米国も秋の大統領選でトランプとハリスのどちらが勝ってもEV推進が弱まる可能性もある。米国と欧州という2つの大きな市場でEVが減速し、さらに『なぜエンジン車ではダメなのか』『EVは本当に環境によいのか』という論調が高まれば、EVシフトは大きく後退することになる」