血栓は血液中の小さな細胞片である血小板が血管内の傷の部位等に凝集して発生するため、この試験では血小板の凝集能力によって血栓発生の可能性を評価しています。

検査については、エリスリトールの血中濃度を計測し、摂取前および摂取後血小板の凝集能力の比較により評価しています。

手順としては、20人の参加者に朝の採血に備えて一晩絶食してもらい、これを10人ずつ2つのグループに分けて、一方に30グラムのエリスリトール、もう一方に30グラムのブドウ糖入りの飲み物を飲んでもらい、食前と食後30分に採血を行いました。

この血中濃度の検査に関しては、エリスリトール、ブドウ糖を各グループ別に同量を摂取させて、エリスリトール濃度、血糖値(ブドウ糖濃度)の各変化を確認します。

各血中濃度の結果として、エリスリトールの摂取のグループでは、血中のエリスリトール濃度が1,000倍以上に上昇することが確認されましたが、ブドウ糖摂取のグループでは血糖値はわずかな上昇に留まりました。

各血小板の凝集能力の結果として、エリスリトールの摂取のグループでは、血小板の凝集能力が急増しましたが、ブドウ糖摂取のグループでは血小板の凝集に影響を及ぼしませんでした。

この結果から、健常なボランティアに対して、エリスリトールの摂取が血小板の凝集能力を促進させ、血栓症リスクを増加させるのではないか、という懸念が示されました。

研究結果の解釈と対応

2023年に行われた研究でも、米国とヨーロッパの4,000人以上の血液を分析し、エリスリトールの血中レベルが高い人は心臓発作や脳卒中を経験する可能性が高くなることが発表されています。

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血液検査のイメージ / Credit : Canva

今回の最新研究のメンバーである米国ラーナー研究所のへ―ゼン(Stanley L.Hazen)氏は、例えば心臓病や糖尿病のある人は、心血管疾患のリスクに関して言えば、エリスリトールで甘くした飲み物や食品を摂取するよりも、少量なら砂糖入りのお菓子を時々食べる方が望ましい、と助言しています。