エリスリトールも糖アルコール(体内で消化吸収されにくい低カロリー素材の一種)で、多くの果物や野菜に自然に含まれる炭水化物です。

人間の体内でもブドウ糖代謝の副産物としてエリスリトールが作られます。

人工的に大量に製造されたエリスリトールは、後味が残らず、血糖値を急上昇させることもなく、他の糖アルコールに比べて緩下作用(便を軟らかくする作用)も少ないとされています。

甘さはブドウ糖の約70%で、ゼロカロリーと考えられています。

エリスリトールは、見た目も味もブドウ糖に似ており、お菓子作りに使われ、アイスクリームを含む多くの製品の主要成分となっている馴染みのある甘味料です。

こうして聞くとメリットばかりの甘味料ですが、多くの人が認識している通り、食品添加物には健康上のデメリットも数多く報告されています。

エリスリトールについても、健康への悪影響がないということは考えにくいため、その影響について様々な研究が調査を行っています。

そして最新の研究において、エリスリトールが血栓症のリスクを増加させる可能性が報告されたのです。

最新研究の概要について

エリスリトール等の人工甘味料は広く使用されており、米国FDAやEU食品安全機関等によって一般的に安全であると認められていましたが、長期的な心血管疾患リスクや短期的な心血管疾患関連を評価する臨床試験は行われていませんでした。

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エリスリトールの血栓症リスク研究に関する概要図 / Credit : Marco Witkawski et al., Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology (2024)

今回の最新研究では、健康なボランティア10名に、米国で認可されている飲料の最大量の4倍近くのエリスリトールを摂取してもらい(他の10名は同量のブドウ糖を摂取)、エリスリトールまたはブドウ糖の摂取による血栓発生の可能性を比較評価しました。