欧米はウクライナとイスラエル問題で団結も出来ず、分裂し、それが大きなイシューとして国内で議論されています。当然ながら各国の政治課題でもあり、2024年の選挙イヤーに様々な憶測と力学が生まれます。それらと地政学的に遠い日本というということもありますが、世界をうろつく投資マネーが投資先選びで躊躇するという可能性を見ています。
ご承知の通り、今、中国から欧米のマネーがどんどん撤退しており、まるで潮の満ち引きで言う干潮のような状態になっています。理由は中国政府ひいては共産党の一声で中国での投資環境が一夜にして逆転するリスクがあるからです。同様にアメリカもトランプ氏が大統領になれば4年間築いたバイデン氏の国内経済基盤がトランプ氏によりことごとくひっくり返されるオセロゲームになり、企業側はそのリスクを読み切れないのです。
となると「聞く力」を発揮しているつもりでも岸田首相は魑魅魍魎な政治力学の中で泳いでいるのか、泳がされているのかわからない状態で何も大きな変化は起きない、故に企業も国民も欧米に比べれば安心感があるはずなのです。
例えばイスラエル問題の影響はイスラム系のマネーの行方です。特に中東のオイルマネーだけでもファンドの規模は610兆円あるとされます。それらが世界をうろつく投資マネーに変化するのです。そんな中、イスラエルを支持するアメリカにはイスラム系マネーは流れにくくなります。中国は前述のようにリスキーです。もう1つはファンドの運営にはつねにバランスを重視するポリシーが存在します。株価が上昇しポートフォリオ上のバランスが崩れた場合、それをリバランスするわけでアメリカ向け投資は既に果実の収穫時期にあるはずなのです。一方、投資額的には日本向けはずっと低かったのです。よって何も起きない日本は安心感が漂い、リバランス後の資金が廻るという仕組みになりやすいのです。
宗教論を出すつもりはないのですが、日本は多神教であり、無神論者主体という極めてユニークな国家であります。一方、世界の大半の国家は宗教に縛られているのです。故にどの一神教にも属さない日本はピュアホワイトともいえ、投資資金を振り向けやすいとも言えます。
岸田首相は欧米追従としながらも全方向外交です。日韓の関係が大きく改善したのは岸田氏の功績でしょう。安倍首相はメリハリと白黒をつけるタイプ、それに対して岸田氏は常に中間色で片方には寄り過ぎることはないのです。これが逆に少なくとも日本の高株価を生んだ、とみています。
評価とは見るところ次第なのです。あとはそれに気がつくかどうか、であります。これを読んで「そうか!」と思って頂く方はきっと株で存分儲けて恩恵がある方かも知れません。
しかしながら将来も岸田首相になってもらいたいと思う人は確か1%といった水準で次の芽は厳しそうですが、案外、このふわふわ漂う空気の感じが日本人の性格には合っているような気がしないでもありません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月19日の記事より転載させていただきました。
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