イランで1日、議会選挙(定数290、任期4年)と最高指導者任免権を有する専門家評議会選(定数88人)が実施されたが、事前に予想されていた通り、イラン議会選では超保守的な候補者連合がリードしている。国営メディアによると、シーア派学者ハミド・ラサイ氏の「管理委員」リストがテヘランの30議席中18議席を獲得した。他の地域では保守党の支持者が290議席のうち少なくとも156議席を獲得した。

イラン最高指導者ハメネイ師 イラン国営IRNA通信より

イラン最高指導者ハメネイ師、投票する(2024年03月01日、イラン国営IRNA通信)

イランの選挙では誰もがサプライズを期待しない。イランの政情が安定しているからではなく、有権者(2023年人口8920万人)の過半数以上が投票場に足を運ぶことに意味を感じなくなっているからだ。

イラン国営メディアの発表では、イラン全土の投票率は約41%で、首都テヘランでは24%という。実数はそれより低いと受け取られている。「信任投票」と見られている議会選挙での低投票率は現政権にとって願わしくないため、イラン最高指導者ハメネイ師は国民に投票を呼び掛けるなど腐心したが、成果はなかったようだ。

ちなみに、事前調査によると、首都テヘランでは3月1日に投票に行く人口はわずか8%という結果が報じられた。2020年の一般投票率はわずか42%で、1979年のイスラム革命以来、最低の数字だったが、今回はそれより下回ることが予想される。

4年に1回の議会選挙だが、国民の過半数以上が選挙を棄権するということは、国民の政治への関心が想像以上に少ないことを物語っている。選挙で政情が改善し、生活が良くなると希望を持つ国民が少ないからだろう。

今回の議会選には1万5000人が立候補を申請したが、12人のイスラム聖職者と弁護士から構成された超保守的な「守護評議会」は、候補者のイデオロギー的資質や現政治制度への忠誠心を事前に調査。その結果、今回は選挙の準備段階で約5000人が立候補できなくなった。ライシ現政権を批判する改革派は立候補出来ない仕組みとなっているわけだ。