ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍を侵攻させて以来、北大西洋条約機構(NATO)加盟国はウクライナに武器を支援する一方、NATOの国境警備を強化。北欧の中立国、フィンランドとスウェ―デンを加盟国に迎え、NATOは32カ国体制となった。
NATO加盟国の中でも米国に次いでウクライナへ軍事支援をするドイツで徴兵制の再導入の声が高まっていることはこのコラム欄で報告済みだ(「ドイツで徴兵制の再導入議論が浮上」2024年3月7日参考)。
ところで、ドイツ民間放送RTLとニュース専門局ntv共同の要請を受けて世論調査研究所「フォルサ」が徴兵制の再導入に対する国民の是非を聞いた。それによると、ドイツ国民の52%は徴兵制の再導入を支持、反対は44%だった。
徴兵制の再導入に反対しているのは、ショルツ連立政権の与党「緑の党」や自由民主党(FDP)の支持者のほか、兵役の対象となる30歳以下の国民が多い。兵役義務の再導入を最も強く支持しているのは、野党第1党中道右派「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)、極右政党「ドイツのために選択肢」(AfD)、そして左派ポピュリスト政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟」(BSW)の支持者に多い。ショルツ首相の与党第1党「社会民主党」(SPD)の支持者は意見が分かれている。
世論調査結果で興味を引く点は、「プーチン大統領はウクライナ戦争に勝利すれば、NATO加盟国に侵攻すると思うか」という質問に対し、54%は「ロシアはNATO加盟国を侵略する」と答え、「NATO加盟国への攻撃は考えられない」は39%に過ぎなかったことだ。