株主の信頼を失墜させる可能性

そもそも、このフレンドリー会員は「業務委託」ではないか、と疑問を呈する人も少なくない。

昨年9月、チョコザップが、フレンドリー会員に対し、外壁塗装や給排水工事・電気工事などの「お手伝い」を依頼していたことがX(旧Twitter)で話題となった。報酬はアマゾンギフト券7000円分(最大)だったという。ライザップはビジネスジャーナルの取材に対し、以下のように答えている。

ビジネスジャーナル「あくまでも”お手伝い”レベルの簡易な活動で、雇用などではないので、給料や報酬ではなく”参加特典”としてギフト券を渡す、ということになるわけですね」 ライザップ広報「はい。そのとおりです」

ちょこざっぷ、会員に電気工事を依頼…電気工事士「違法性ないが単価低い」 | ビジネスジャーナル

ライザップは、Xで「誤解を招くような募集内容となっていた」とも述べている。

直営展開による負債増加。新サービスによるコストアップ。店舗当たり会員数増加による顧客満足度低下。そして、誤解を招く発信。

これら複合的要因が、株主からの信頼を失墜させた可能性がある。そもそも、株式市場の、ライザップに対する信用度は、決して高くない。18年12月の「負ののれん(凍結)」による株価暴落(※)や、19年5月の瀬戸社長の「(翌期)黒字にならなかったらこの場にはいない」という宣言の反故、などの過去があるからだ。

※参考 ライザップ「のれん」なしで300億円稼げるか | アゴラ 言論プラットフォーム

今年2月に、ライザップは中期経営計画で

「27年3月期の営業利益400億円、店舗数3800店」

という目標を追加した。

今度こそ「結果にコミット」できるか。明らかになるのは22か月後だ。

長期安全性は改善するか

6月7日、SOMPOホールディングスが、ライザップ(子会社含む)に対し、約300億円を出資することが報道された。チョコザップの出店費用に充てるという。

SOMPO、ライザップに300億円出資 健康事業を拡大|日本経済新聞

今回の出資は、一時的に自己資本比率を改善させるものの、出店に伴い負債が増加するため、根本改善に繋がらない可能性もある。詳細は、7月1日の記者会見を待ちたい。

【注釈】 ※1 売上:1545→1662億円、赤字: △127→△50億円 株価:6月14日現在 358円まで回復している ※2 取引所における取引時間外(立ち会い外)に、上場株式のまとまった売り注文を小口に分けて、不特定多数の投資家に売り出す売買方法のこと ※3 「22年7月 に延床面積およそ30坪ほどの標準タイプのフォーマットを固めた」 RIZAP 2025年度中に「chocozap」で2,000店舗の達成目指す | Fitness Business 実際は、コンビニ跡地に出店することが多く、15~40坪程度の幅があると思われる

【参考】 ちょこざっぷ、会員に電気工事を依頼…電気工事士「違法性ないが単価低い」 | ビジネスジャーナル 「お手伝いってレベルじゃない」chocoZAPが物議 電気工事などギフト券で募集…運営謝罪「誤解生じる表現があった」: J-CAST ニュース