約50年ぶりに人類が月に戻る「アルテミス計画」に向けて

アルテミス計画は、NASAが主導する有人での月面着陸計画です。

人類が月面に到着したのは1961年のアポロ計画が最初で、その後1972年までに6回の月面着陸に成功しました。

しかしそれ以来、人類は50年以上も月に足を踏み入れていません。

その中で発表されたのがアルテミス計画です。

アルテミスとはギリシア神話に登場する「月の女神」であり、アポロ計画の由来となった太陽神アポロンとは双子の関係にあります。

まさにアポロ計画の次なる月面着陸ミッションにはふさわしい名前です。

当初は2024年までの着陸を予定していましたが、現時点では2026年9月に月面着陸を実施すると発表されています。

50年以上ぶりに人類が月に戻る
50年以上ぶりに人類が月に戻る / Credit: canva

同プロジェクトには、アメリカを中心に日本を含む34カ国が参加しており、2026年以降には複数回の有人月面着陸を行って、月面基地や月周回軌道上の拠点を建設する見通しです。

また、この中間地点が完成すれば、2030年代にはそこを経由する形で、さらに先の火星への有人探査を実施する計画が立てられています。

こうしたミッションの中で「月の標準時」が大いに役立つと考えられているのです。

NASA長官のビル・ネルソン(Bill Nelson)氏は3日、「宇宙では一秒一秒が重要です。宇宙探査の未来にとっては、月やその先(=火星などの天体)において統一された標準時を確立することが不可欠なのです」と自身のXにて投稿しました。

「月の標準時」は2026年末までの導入を予定していますが、一方で、現時点ではどのような形で月専用の時間を確立するかは明かされていません。

地球で使用されている協定世界時(UTC)は、世界各地に配置された原子時計をもとに作られていますが、月の標準時にもこれと同じ方法を採用する可能性があると報じられています。

「月の標準時」が導入されれば、それを主導したアメリカだけでなく、月面で活動する他の国々にとっても有益なものとなるでしょう。

参考文献

NASA Is Creating a ‘Moon Standard Time’

Moon Standard Time? Nasa to create lunar-centric time reference system

White House Office of Science and Technology Policy Releases Celestial Time Standardization Policy

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。