「オリエントスズメバチ(学名:Vespa orientalis) 」です。
オリエントスズメバチは地中海沿岸に見られるスズメバチの一種ですが、その他にマダガスカルやインド、それから人間による移入で南米でも見られるようになっています。
チームは以前から、オリエントスズメバチが発酵した果物を積極的に食べているのに、エタノールによる副作用をまったく受けていないように見えることを不思議に思っていました。
そこでチームは今回、オリエントスズメバチたちがどこまでのアルコール度数に耐えられるのか、検証してみることにしました。
驚異の酒飲み!アルコール度数80%で「ほろ酔い」
チームは約2000匹のオリエントスズメバチを採取し、研究室に持ち帰って、ショ糖にエタノールを加えた溶液を与えました。
まずは低濃度のアルコール度数を与えてみたところ、予想通り、オリエントスズメバチには何の変化も見られなかったので、アルコール度数を20%に設定しています。
これは酵母菌が生産できるアルコール濃度の限界です。
ところがオリエントスズメバチはアルコール度数20%の溶液を飲んでも、まったく異常がありませんでした。
アルコール度数20%というと日本酒の限界値がそれくらいです。
ただ私たちがアルコール度数の高い日本酒を飲むときは大体、水割りやお湯割りで濃度を薄めることが多いでしょう。
しかしハチたちはアルコール度数20%程度なら、薄めずにそのまま飲んでもヘッチャラなのです。
そこでチームはオリエントスズメバチのアルコール耐性の限界を突き止めるべく、溶液のエタノール濃度をどんどん高めていきました。
その結果、オリエントスズメバチは最終的にアルコール度数80%の溶液を飲んだときにやっと「ほろ酔い」の症状が出たのです。