まず、ファン先行の抽選応募を開始したところ、すぐに複数の転売サイトで既定価格の何倍もの値段で売りに出されました。オアシスは主催者側と紐付けされていない転売サイトにチケットを売らないように、このようなチケットは会場でキャンセルされると警告しましたが、争奪戦を鎮めることはできませんでした。

通常販売では、チケット販売大手「チケットマスター」のサイトから購入する形になっていましたが、圧倒的な数のファンがサイトに殺到したため、最初にアクセスした時点から購入までにかなりの待ち時間が生じてしまい、当初提示されたチケット価格から数倍高い価格を購入時に提示されることになったのです。

例えば、サイトにアクセスして、148ポンド(約2万5000円)のチケットを買おうとしたとしましょう。アクセスが莫大になったため、なかなか先に進めません。3時間後、自分が購入する番が回ってくるまでに350ポンド(約6万5000円)を超えた場合もあったそうです。

これは、チケットの需要が高まると、それに合わせて価格が上がるダイナミック・プライシング、つまり変動価格制が適用されたためのようです。

この仕組みはホテルや航空便を予約するときなどにも導入されていますが、今回は需要が急増し、リアルタイムで価格が急上昇してしまったのです。これを見て、オアシスは追加公演の日程を発表することになりました。

混乱状態を見て、9月5日に英競争・市場庁(CMA)はこのチケット販売に関して調査を始めると発表しました。需要に応じて価格が変動すること自体は違法ではありませんが、購入を検討する人に価格に関する情報が十分に明示されていなかったとすると、消費者保護法に違反した可能性があるのです。

チケットマスターが消費者保護規則に反する行為に従事しなかったかどうか、買い手が事前に十分な情報を与えられていたか、高額のチケットを買うように圧力を受けなかったかどうか、などが調査の焦点になっています。