また、人間の筋肉、靭帯、骨が耐えられる衝撃を計算し、鎖骨や脊髄、膝などが損傷する可能性にも着目しました。

8m以上の高さから飛び込むと脊髄損傷の危険あり!足から落ちよう

頭、手、足、それぞれの着水方法で衝撃の違いを調べる
頭、手、足、それぞれの着水方法で衝撃の違いを調べる / Credit:Sunghwan Jung(Cornell University)et al., Science Advances(2022)

実験の結果、訓練を受けていない人間は、次のケースで怪我をする恐れがあると分かりました。

  • から着水した場合は、8m以上で脊髄(特に頸椎)を損傷
  • から着水した場合は、12m以上で鎖骨を損傷
  • から着水した場合は、15m以上で膝を損傷

特に注目できるのは、頭から着水した場合です。

素人が飛び込み選手の真似をすると、指先から着水できず、脊髄に大きなダメージを負ってしまう恐れがあるのです。

そのため飛び込みにチャレンジするときは、体をひねったり丸めたりしようとせず、足からそのまま落ちるのがベストでしょう。

「足から」「15mよりも低い」ことを条件に飛び降りるなら、助かる確率アップ
「足から」「15mよりも低い」ことを条件に飛び降りるなら、助かる確率アップ / Credit:Canva

ちなみに、安全のボーダーラインである「15m」は、4階建てビルくらいの高さになります。

仮に、それ以上の崖で敵に追い詰められることがあるなら、命を狙われているのではない限り、おとなしく捕まった方がよさそうです。

また今回の実験では、人間モデルのほかに、飛び込みを得意とする動物の身体の一部(ネズミイルカ’Phocoena phocoena’の頭部、シロカツオドリ’Morus bassanus’のくちばし、チャイロバジリスク’Basiliscus basiliscus’の足)での衝撃も計算しました。

ネズミイルカ、シロカツオドリ、チャイロバジリスクのモデルでも検証
ネズミイルカ、シロカツオドリ、チャイロバジリスクのモデルでも検証 / Credit:Sunghwan Jung(Cornell University)et al., Science Advances(2022)