吸血鬼 ― それは伝説ではなく現実の病気だったのかもしれないーーー。
ミネソタ州在住のフェニックス・ナイチンゲールさん(32歳)は、「急性間欠性ポルフィリン症」という稀な代謝性疾患を患っている。この病気は、特定の物質が引き金となって、激しい腹痛、片頭痛、便秘、嘔吐などの症状を引き起こす。ナイチンゲールさんの場合、その引き金となるのは、ニンニクに含まれる硫黄だ。多量の硫黄を摂取すると、「致命的な発作」を引き起こす可能性もあるという。
【こちらの記事も人気です】
ニンニクで死に至る? 「吸血鬼病」と呼ばれる理由
「この病気は、『吸血鬼病』とも呼ばれています」とナイチンゲールさんは語る。ニンニクを嫌い、日光を避けるという吸血鬼の伝説は、この病気の症状を彷彿とさせることから、そう呼ばれるようになった。
15世紀のワラキア公ヴラド3世、通称「ドラキュラ伯爵」も、この病気を患っていたのではないかと考えられている。彼がモデルとなったドラキュラ伝説と、この病気の症状には多くの共通点が見られる。
「ニンニクを避け、日光を浴びないようにし、顔色が青白く歯が抜け落ちているという伝説から来ているのかもしれません。神経学的な副作用のために、この病気の人は怪物や悪魔に取り憑かれた者だと考えられていたのでしょう」と、ナイチンゲールさんは説明する。