政府を欺いた罪を認め、司法省と司法取引に合意

 B737MAX墜落事故後、2021年にボーイング社は、航空機開発と製造で改善と対策を講じることを条件に、政府/FAAを欺いた罪での刑事訴追を免れることで司法省と合意した。ところが、今年1月にアラスカ航空のB737MAX9型機の飛行中にプラグ・ドアが吹き飛び、穴が開き、人命が失われる寸前の事故に陥った。原因は、製造時にプラグ・ドアを留めるボルトを付け忘れるという品質保証上の問題だった。ここに至って司法省は、改善と対策を講じる約束を反故にしたという理由で、一旦留保した刑事訴追を復活させた。

 裁判の被告となったボーイング社は7月、再発防止策を履行しなかった「詐欺罪」を認め、司法省と司法取引に合意し、2億4360万ドル(約390億円)を支払うことで裁判を回避。米国の大企業が有罪を認めるのは極めて異例だ。ただでさえ悪化している経営の中で、罪を認めてでも長期の裁判を避けたものと考えられる。B737MAX墜落事故の遺族たちは、この司法取引を認めた政府に強い抗議を行っている。