心は24歳のまま… 祖父としての役割に葛藤

 目覚めて以来、ダダモ氏は、大人よりも子供と接する方が楽だと感じているという。祖父としての役割を受け入れようとはしているものの、心の中では、まだ自分が若者であると感じているのだ。

 ローマのサッカークラブの熱狂的なファンだったダダモ氏は、昏睡状態から目覚めた後、そのクラブのことをすっかり忘れてしまっていたことに気づき、愕然とした。唯一蘇ってきた記憶は、2014年に生まれた初孫のベビーベッドに貼られていたネームタグだった。この小さな記憶の断片が、失われた過去への微かな手がかりとなっている。

 記憶を失っても変わらないもの、変わってしまったもの。5年間の昏睡は、ダダモ氏の人生に大きな変化をもたらした。長い眠りから覚めた彼の人生は、これからどんな物語を紡ぎ出すのだろうか。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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