ミュゼプラチナム買収の誤算
船井電機HDは高収益事業の確立を目的に美容事業を拡大するため、23年に脱毛サロンチェーン運営会社ミュゼプラチナムを買収したが、1年後に売却。10月3日付「日本経済新聞」記事によれば、ミュゼプラチナムが代金未払いで広告会社に対し抱えていた負債について船井電機HDが連帯保証しており、船井電機の9割の株式を広告会社が仮差し押さえするという事態が起きていたという。このミュゼプラチナム買収が最終的に船井電機の破産を決定づけたのではないかという見方もある。
「その要因も破たんの一因だと思います。新たに船井電機のオーナーとなった秀和システムは、上田智一社長自らが船井電機HDの社長となり、5つの領域でM&Aを行って事業再建を目指すことを表明しました。その領域とは家電、美容・医療、リサイクル、車載機器、デバイスで、第1弾として23年に数十億円で買収に踏み切ったのが脱毛サロンのミュゼプラチナムだったわけです。サロンの成長に加えて、サロンで用いる美容家電まで手をひろげる目算だったようですが、結果としては1年で同社を売却する結果になりました。
実はこの時期、脱毛サロン大手がつぎつぎと経営破たんする状況が続いていました。17年にエターナルラビリンスが、22年に脱毛ラボが経営破たんし、船井電機がミュゼを買収した23年の年末には業界大手の銀座カラーまでが破たんに追いこまれています。ミュゼも同様に経営が苦しく、巨額のネット広告費が未納になりネット広告会社から訴えられます。ミュゼ株を売却した船井電機HDはミュゼの20億円ともいわれる負債について連帯保証をしていました。
最終的にこの10月にネット広告会社が船井電機HD株の大半を差し押さえることを東京地裁が決定しました。その前月に上田社長は退任し再建の道を探っていたのですが、支払い不能と判断され取締役会の決議を経ずに準自己破産にいたったのです」(鈴木氏)
(文=Business Journal編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
提供元・Business Journal
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