エイリアン・アブダクションの被害者たちは地上に戻されたが故にその体験談を語ることができるのだが、もし戻されることがなかった場合は原因不明の失踪事件として処理されることになるだろう。したがって、UFOやエイリアンが関係している失踪事件が一定の割合で起きていることも否定できない。

 かつてアメリカで、共にUFOについて並々ならぬ熱意を捧げていた2人の男性が行方不明になっている。2人で乗り込んだセスナ機が飛び去った後、二度と戻ることはなかったのだ。その奇妙な経緯とは――。

■エイリアンに“使命”を託された男

 1950年代のこと。ウィルバー・ウィルキンソンとカール・ハンラスの2人は共に米ウィスコンシン州ラシーンの住民であり、もともと接点のない赤の他人同士だったが、共通した興味関心を持っていた。それがUFOである。

 当時、地元の家電メーカーで働いていた独身のハンラスは、エイリアンとの接近遭遇体験をしている。1952年1月の真夜中、自宅の寝室で目覚めたハンラスは、ベッドの脇に立っている謎の人物によって腕に何かを注射された。その時、なぜか驚くことも恐れることもなかったハンラスだが、身体は動かせなくなっていたという。謎の人物は背が高く、細身でダークスーツを着ており、ハンラスが寝ているベッドに近づいてきた。そしてテレパシーによる会話がはじまったのだ。

 その人物は自分を「ボスコ」と名乗ると、「あなたは私たちが属する銀河系同胞団のメンバーに選ばれました」と語った。脳内に響くその英語には、ヨーロッパ訛りがあったという。そしてボスコは当時の米ソ冷戦の時代にあって、アメリカ人たちの好戦的な態度がソビエトとの間に絶望的な対立を生むだろうと警告したのだった。そして他のコンタクティーと同様、米ソ全面核戦争を阻止すべく活動する使命を与えられたのだ。

 その使命の具体的な内容は、米ソ両軍の最新型航空機を撃破できる兵器に関する情報を集めることだった。これを完成させることができれば、両国の全面戦争に介入し、阻止できることにもなる。そしてボスコと別れたハンラスは、兵器の作成に没頭することになる。