「ウクライナとロシア間の戦争の行方は北朝鮮が握っている」・・ウクライナのクレバ外相(当時)はユーモアと少しの皮肉を込めて発言したつもりだろうが、それは暴言でも失言でもなく現実となってきた(「ウクライナ戦争の行方を握る北朝鮮」2024年1月26日参考)。
北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支援するために自国兵士を派遣していることを受け、欧米諸国では警戒心を強めている。韓国情報機関筋によると、これまで約3000人の北朝鮮兵士がロシア入りし、ロシア側からロシア兵士の制服、身分証明書、軍事器材を提供されているという。その後、一定の軍事訓練を受けた後、戦場に派遣されると見られている。北側は年内にも1万人以上の兵士をロシア側に派遣する予定という。
韓国情報機関筋によると、派遣された第一陣の北朝鮮兵士はウクライナ軍が8月6日以来、ロシア領土に越境して占領しているクルスク州に送られ、苦戦するロシア軍を援助するのではないかという(ウクライナ軍事情報機関)。
北朝鮮が自国兵士をロシア側に派遣するのは、今年6月19日、両国間で締結された軍事協定「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づくもので、第3条、4条には「いずれかの締約国が一国または複数の国から武力侵攻を受け、戦争状態に置かれた場合、他方の締約国は、国際連合憲章第51条および朝鮮民主主義人民共和国およびロシア連邦の法律に従い、遅滞なくあらゆる手段で軍事的およびその他の支援を提供する」と明記されている。ただし、ロシアはウクライナに侵攻したのであり、攻撃を受けたのではないから、厳密には、北朝鮮側の兵士派遣は軍事協定外の行動だ。
韓国聯合ニュースによると、北朝鮮兵士一人当たり2000ドルの代価がロシア側から支払われるという。すなわち、金正恩朝鮮労働党総書記は自国の若い兵士を戦場に送ることでロシア側から経済的支援などを得ているのだ。北朝鮮の海外労働者と同じ仕組みだ。