そこで多くの人が反発することに「努力しても評価されない。昇給してくれない」というものだろう。だが、この考え方は会社に期待値が高すぎる他責であり間違っている。これはアメリカでも同じ事情だが、基本的にサラリーマンが給与を高めるには昇給ではなく、転職時に高額オファーを引き出すことが基本だからだ。

給与アップとは、人知れず頑張っていれば自然に引き上げてもらえるものではなく、自らリスクを取って労働市場にスキルの価値をPRし、新天地でさらに高い結果を出すことて獲得するものだ。

仮にものすごく努力をしてスキルをつけているのに、正当な評価をされず市場価格と乖離して安く買い叩かれているというならすぐに転職をすればいい。本当に付加価値の高いスキルや努力をしていたなら、たちまち価格は是正されスキル相応の給与を提示されるはずだ。「日本企業は給料が安い」と言われがちだが、収益率の高い業界へいったり、外資系企業なら事情も違う。筆者はサラリーマン時代にそれをして年収200万円アップで転職できたし、親族は500万円アップで転職を実現できた。給与アップを希望するなら昇給ではなく、転職するのだ。

ここで問題なのが「本人は努力したと考えている頑張りに、市場価値が付帯しているか?」ということだ。こんなことをいうと怒り出す人が出てしまいそうだが、世の中は甘くない。顧客、雇用主が価値を感じない頑張りは厳しいが「自己満足」でしかない。

また、あくまで勤務先にしか通用しない、たとえば社内政治や社内人脈は転職先に継承できないので、「そこだけ」にコミットすることに時間を使っていたなら残念ながら「努力の方向性を間違えていた」ということになる。その場合は今すぐ、「労働市場で評価される努力」へ方向を変更するべきだ。そしてキャリアの価値は「実務経験」がものをいうので、転職を前提として現職の仕事をすると「今の職場でできるだけ大きな結果を出したり、深い経験を積んでそれを実績に転職の武器にしよう」と考えるようになり、現職でやる気を出して手土産になる結果を出そうという意気込みになる。