ウェット路面でも高い安定感 
ハイグリップスポーツタイヤ【MICHELIN POWER GP2】

次にPOWER GP2をテストしてみる。POWER GP2はハイグリップスポーツタイヤで、スポーツランはもちろん、サーキット走行まで想定されたモデルだ。前モデルのパワーGPからドライ&ウェットグリップを高め、ハンドリングを向上、ライフも伸ばしたという。

まずはPOWER 6同様、タイヤの暖まりの良さに感心したが、これは前モデルのパワーGPからの変わらない特徴とのこと。やはり注目はドライグリップだということだったが、それよりも私はウェット路面でのグリップに驚くことになった。

このPOWER GP2、サーキットランでの使用も考えて、表面に溝の少ない、まるでセミスリックのようなタイヤパターンを採用しているだけに、特にウェット路面での不安があったものの、POWER 6と同じく、ブレーキングでの安定感が高く、スラロームではPOWER 6よりももっと思い切って切り返しをしても不安を感じなかった! もちろん、走行慣れがあるかもしれないけれど、見るからに排水性は高くなさそうなパターンでこの不安のなさはスゴい!

さらにドライグリップでは、POWER 6よりも明らかに「曲がる」特性がハッキリとわかる。テストしたのはCBR400R、GSX-S750だったが、特にCBR400Rは、ノーマル状態でさしてスポーツランを重視した設定でもないのに、バンク角を深く取ってぐいぐい曲がっていく特性が強調されていた。GSX-S750も、ノーマルは素性のいいストリートスポーツの印象が、俊敏なハンドリングになって、フルバンクの安定感も高い――そんなスーパースポーツ的ハンドリングになっていたのだ。

MICHELIN POWER GP2 
サイズラインナップ

POWER GP2
フロントリヤ
120/70ZR17(58W)160/60ZR17(69W)
180/55ZR17(73W)
190/50ZR17(73W)
190/55ZR17(75W)
200/55ZR17(78W)

「タイヤはバイクのキャラクターを左右する重要なパーツ」
原田さん、岡田さんがMICHELINを絶賛する理由

今回、250ccの単気筒から900ccの4気筒まで数機種をテストすることができたが、POWER GP2は車重が軽い車両の方が効果を感じられた。車両メーカーによってタイヤのフィーリングも違い、ノーマルでは少し切れ込みがちなヤマハMT-09がPOWER 6でしっとりとした手応えになったり、ノーマルでは安定性を大きく取っていたGSX-S750がPOWER GP2で俊敏さを増したり、タイヤの重要性をはっきり感じられたのだ。

どちらのタイヤにも共通して言えることは、1日たっぷりテストをした後も、タイヤの表面がきれいだったこと。目視で摩耗があったり、アブレーションと呼ばれるしわが表面にほぼなく、かなりのロングライフをうかがわせた。性能を長期間安定させて、それでいてロングライフということも、また高性能タイヤの絶対条件なのだ。

「MICHELINのタイヤって、国産製品に比べてちょっと高価なイメージがありますよね。でも、そこを節約して転倒しちゃったり、タイヤ交換のサイクルが短かったら意味はないでしょう。僕はいつも、バイクのカスタムについて『最初にタイヤ交換!』って言ってるんだけれど、いいタイヤにするだけでハンドリングがよくなってスポーツランが楽しくなって、安全でロングライフ、ってところまで考えてタイヤを選んでほしいと思う」とは原田哲也さん。

1993年にロードレース世界選手権のGP250へ参戦すると、そのデビューイヤーでチャンピオンを獲得した原田さん。レースの潮目を見極め、ここぞいう時に勝負を仕掛ける冷静沈着な走りからクールデビルと呼ばれていた。

「僕はタイヤをいつも自分仕様にしたいと考えるんです。自分が乗るバイクと乗る用途、走る季節によって、タイヤの空気圧を管理したい、ってこと。でも、きちんと空気圧管理をしても、なかなか変化が分かりにくいタイヤもあるんだけれど、MICHELINはそこが大きな特徴だと思う。今回もバイクによっては良さが出ていないな、と感じるケースがあったんだけど、空気圧を変えたらすごくフィーリングが変わるんです。これって、いいタイヤの条件だと思う」と岡田忠之さん。

ロードレース世界選手権の最高峰クラス(GP500)で、日本人選手として最多勝利記録を持つ岡田さん。現在では世界のトップカテゴリーで活躍する後進の育成のため「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿(HRS)」のMotoクラスでプリンシパルを務めている。

ドライグリップ/ウェットグリップ/ウォームアップ/ハンドリング/ロングライフという評価項目を上げるのはもちろん、タイヤを変えることで安心感、カッコよさ、バイクを大事にする心まで芽生えるものだ。それもまた、いいタイヤの条件なのだと思う。