私の新作書籍『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、日本人は国境を超えて生活拠点を作り、内外価格差を活用するという柔軟性のある人が多くはありません。
働き方やお金に合わせるというのは要するにリモートで色々やるということなのですが、 それをやると会社側も固定費を削減できますし、 働く方は価格差を活用して生活のコストや不動産のコストを削減できますので良いことだらけなのです。
リモートでできる仕事は探せばないというわけではないのですが、 日本人はなぜかそうしようとしません。 日本は他の先進国に比べて物価が激安ですが、 ちょっと郊外の方に行けばさらに家は安く、 地方都市に行けば食費も何も大丈夫よりもさらに安いのです。
安い所に住んで高い所の賃金をもらうという「内外価格差」による「アービトラージ」(安く買って高く売る)をやらないのがとても不思議なわけです。
老後資金がないないと大騒ぎしている人はちょっと頭を使ってやってみたら良いと思うのですけどね。
どうも日本人は自分の生活を柔軟に考えたりダイナミックなことやってみようという人が少ないようです。 変化に対して非常にレジスタンスが強いわけですよね。
北米や欧州北部はどうしたら生活コストを削減できるかということを考える人が非常に多いです。得したお金で自分が好むライフスタイルを実現したり、旅行や趣味など人生を楽しみたいという人は結構多いんですよね。
これは最近始まった話ではなくインターネットが民間でも使えるようになった20年以上前からそういう人が結構います。
ですから結構前から普段は田舎や物価が激安な海外に住んでおいて、給料が高いところの会社の仕事を受けたり、都会に持っている自分の家は人に貸し出す人が結構います。
そしてここ最近のコロナ禍とインフレによってこの流れはどんどん加速しています。
これが特に増えているのはアメリカです。強いドルと凄まじいインフレ、リモートワークの増加で、欧州に転居するアメリカ人が激増しているんです。
アメリカ人には特にイタリア、フランス、スペインが人気で、2022年は前年の4−7月に比べ購入問い合わせが40%も増加しています。伝統的に豊かなアメリカ人は欧州の不動産の買い手だったのですが、ここ最近は小規模住宅や小さな町の住宅を購入希望の中流以下も増加しているのが特徴です。
例えばBloombergの2022年7月1日付けの「Americans Who Can’t Afford Homes Are Moving to Europe Instead」という記事では、南部のアトランタは不動産価格が一年で19%も高騰しました。