ミス日本でグランプリに輝いた椎野カロリーナさんが既婚者との交際報道を受けて、グランプリを辞退した。ウクライナにルーツを持つ椎野さんのミス日本については賛否両論があったらしい(madame FIGARO.JP, 2024.01.27)。いずれにしても、悪意ある報道のために残念な結末になった。
この騒ぎには、国際化の中における日本人のアイデンティティ、プライバシーを暴き立てる度を越した報道の是非など面白い問題を含んでいるが、とりわけ私が興味を惹かれたのは石野シャハラン氏の「『まだやってるの?』…問題は『ミス日本』が誰かではなく、時代錯誤なこと」(ニューズウィーク日本版、2024年2月5日)という記事だ。石野氏は容姿に順位をつけるようなエンターテイメントは多様性の時代にはふさわしくないと指摘する。
美人コンテスト(beauty contestもしくはbeauty pageant、以下コンテスト)と総称されるこの種のイベント、日本ではもっぱらミスコンで通っている。
もっとも、近年コンテストは未婚女性だけでなく、既婚女性を対象としたミセスユニバースやミセスインターナショナル、また男性版のミスターワールド、ミスターインターナショナルもあるので、美しい容姿を競うイベントをミスコンと総称するのは、美しさを専ら若い未婚女性に結びつける一種のステレオタイプのような気もする。
国際的なコンテストの嚆矢はミスワールドで1951年、翌1952年にミスユニバース、1961年にはミスインターナショナルが設立され、美の競う大会はたちまち世界の衆目と莫大なマネーを集めるイベントになった。