・配属先は、会社が一方的に決定している
配属先を会社が決定する=「どこに配属したって後で色々ローテして最後は社内事情に詳しい立派なゼネラリストになるから同じだ」というロジックを前提としており、典型的な年功序列的価値観の産物ですね。
脱・年功序列を謳うなら職種別で内定を出すか、最低でも配属志望を出させて第2位志望以内でまとめるのが筋でしょう。勤務地に関しては希望を100%実現すべきです。
なんてことを言うと「ずっと異動も転勤も無しなんて不可能だ」という人もいますが、もちろん最初の一定期間(たとえば5年とか)だけです。
「不人気の事業所には誰が行くのだ?」という人もいますけど心配いりません。「命じられればどこでも行くし、なんでもします。だって他に行くあてないし」という中高年人材はいっぱいいるはずなので、そういうのをガンガン転がせばOKです。
若手と呼ばれる期間を過ぎた後に引き続き会社と交渉して好条件を勝ち取れるか、それとも他に行くあてのない人材になるかは本人次第でしょう。
・「新人は20時まで席にいろ」「20代独身者はGWは出勤な」みたいな滅私奉公が残っている
滅私奉公については議論の余地なく年功序列の置き土産といっていいでしょう。
筆者はハードワーク自体は否定しませんが、意味もなく残業させたり休日出勤させたりするのは「若い間は年功を貯めさせる」価値観の一端だと考えています。
ただ、もっとも影響力の強い年功序列の遺産はまだあります。しかも、その遺産に気づいている人は人事の人間にも多くはないです。それは以下です。
・キャリアパスが見えづらい
ゆくゆくはどういうキャリアを身につけ、年収はいくらぐらい欲しいのかは人それぞれでしょう。
ただ、目の前にある仕事と「自分の理想とする目的地」までの経路が見えづらい、というか全く見えない状態だと、人はモチベーションが上がらないものなんですね。
「なぜ自分はここに配属されたんでしょうか?」 「なぜ連休中に自分だけ出勤しなきゃならないんでしょうか?」 「どうやったら自分の理想とするキャリアにたどり着けますか?」
なんて聞かれたら、思わずこう答えてしまいそうな管理職は多いはず。
「みんな、そうやってきたんだから」
でもそう答えてしまうということは、やはりそれは年功序列の置き土産だということです。
そしてそれは、新人が組織に見切りをつける大きな要因となりうるものです。
以降、
もう一つの理由。新人の側もなにがしたいかわかっていない 本来、人材は流動的なものである
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Q:「新卒採用と中途採用の位置づけはどうあるべき?」 →A:「ゆくゆくは採用は通年採用として一本化されるでしょう」
Q:「日本企業は本当にジョブ型に変われるんでしょうか?」 →A:「変われない会社は潰れるだけでしょう」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2024年5月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。
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