おそらく報道機関は「全国瞬時警報システム(Jアラート)」の有無で判断しているのであろう。もし、それが「大津波警報」なら、そうした判断もあり得よう。だが、震災と戦争は性格が異なる。本当に以上の対応でよかったのだろうか。
昨年末、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、同年12月30日まで開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、「来年(つまり今年)、軍事偵察衛星を追加で3基打ち上げる」計画を発表した。
計画どおりに事が運べば(たぶんそうなる)、今年、少なくとも3回、全テレビ番組が中断されることになってしまう。
なかには、「日本の安全保障上も重大な問題なのだから当然だ」との考え方もあろう。ならば、そう考える人たちに聞きたい。「軍事偵察衛星」より、はるかに重大な脅威である「固体燃料型大陸間弾道ミサイル(ICBM)」や「極超音速機動型固体燃料弾道ミサイル」が発射されても、ドラマやバラエティ番組を放送し続ける判断は正しいのか、と。
逆に言えば、日本のはるか上空を通過するだけの「人工衛星」打ち上げのたびに、Jアラートを配信するのもどうか。「いや、落下するリスクがある」との反論もあり得ようが、軌道投入の有無も、飛翔距離さえも間違える人たちに、それを言う資格はあるのだろうか。
念のために書けば、当初、日本の領域外に着水すると判断したが(それゆえJアラートはなし)、その後、低空を「極超音速機動」したことにより、想定外ながら日本の領域内に着弾した、といった可能性は十分に考えられる。さらに、可能性は小さくとも、発生すれば重大な結果を避けがたいケースはいくつも想定できる。
Jアラートのときだけ大騒ぎをするのは、もう止めにしたい。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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