イタリア南部プーリア州で13日、3日間の日程で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開幕された。同首脳会談では長期化するロシアとウクライナ間の戦争や中東のイスラエルとパレスチナ自治区ガザでのイスラム過激テロ組織「ハマス」間の戦闘への対応、人工知能(AI)への規制問題などが話し合われる。ウクライナ問題ではゼレンスキー大統領が対面参加して話し合う。なお、スイスで15日から「ウクライナ和平サミット会議」が開催されるが、日本の岸田文雄首相は15日、同サミット会議に参加するためにスイスに向かう。
ところで、「2024年はスーパー選挙イヤー」と言われてきたが、G7の首脳陣の顔ぶれを見ると、国内で選挙を控えている首脳が多いことに気が付く。先ず、バイデン米大統領は11月5日に大統領選を控えている。予想では、共和党からトランプ前大統領がホワイトハウスへのカムバックを目指してバイデン氏と対決を臨む。欧米メディアでは「もしトラ」という表現が飛び交っているが、トランプ氏が勝利する可能性も排除できない状況だ。
バイデン氏は今月6日から9日までフランスを国賓として訪問したばかりだ。そして今、G7サミット会議のために南欧イタリアを訪ねているわけだ。高齢(81歳)のバイデン氏にとってかなりきついスケジュールだ。ただ、15日からスイスで開催される「ウクライナ和平サミット会議」にはハリス副大統領が参加する予定だ。バイデン氏の体は欧州の地にあるが、心は米国内の選挙戦の行方にあるのではないか。次男(ハンター・バイデン氏)が11日、武器不法購入などで有罪判決を受けたばかりだから、猶更だろう。
スナク英首相は今月6日開催された第2次世界大戦でフランスのノルマンディー上陸作戦(Dデー)80周年の記念式典でオマハビーチでのメイン式典を欠席して英国に飛び帰った。このことが明らかになると、英国メディアからバッシングを受けている。英国は当時、Dデーで重要な役割を果たした。その英国の代表が欠席したからだ。あれも、これも、来月4日の総選挙が差し迫っているからだ。選挙の行方はスナク首相の保守党には厳しく、野党の労働党の勝利はほぼ間違いないと予測されているだけに、スナク首相はゆっくりとオマハビーチでスピーチする状況ではなかったのだろう。
フランスのマクロン大統領は今月9日、欧州議会選挙で与党連合が完敗し、大統領候補者の一人、マリーヌ・ルペン氏の国家主義、ポピュリズムを標榜する極右「国民連合」(ジョルダン・バルデラ党首=RN)が得票率約32%を獲得して大勝したことを受け、急遽議会を解散し、今月30日に下院(小選挙区)選挙を実施すると発表したばかりだ。