コーラ、ソーダ、スポーツドリンクなどなど、糖分が多量に含まれる加糖飲料には、太りやすいだとか、血糖値に悪そうといったイメージを持つ人が多いでしょう。
実際こうした飲料の飲み過ぎが原因で起きる症状を、ペットボトル症候群と呼んだりします。
さらに、最近の研究によると、この加糖飲料が健康に及ぼす影響は意外なところにまで広がっている可能性が指摘されました。
中国・重慶医科大学附属第一医院などに所属する研究グループが、アメリカの大規模調査(NHANES)のデータを用いた新しい研究結果を発表しました。
その結果とは、加糖飲料をよく飲んでいる人たちは、慢性腰痛を抱えやすい傾向があるというものです。
加糖飲料と慢性腰痛との関係に初めて焦点を当てた本研究は、加糖飲料の過剰摂取による健康問題が、私たちが想像している以上に広範に及んでいる可能性を示唆しています。
今回の研究成果は、2024年7月3日付で学術誌『Frontiers in Nutrition』に掲載されました。
この記事では、慢性腰痛以外の影響を含めて、近年発表された研究をもとに、加糖飲料を飲みすぎる影響を見ていきます。
目次
- 腰痛に苦しむ日本人
- 加糖飲料を飲みすぎる健康リスク
腰痛に苦しむ日本人
腰痛は日本人の多くが抱えていて、業務効率や日常生活に支障を与える主要な要因になっています。
例えば、厚生労働省が行った国民生活基礎調査(2022年)を見ると、病気やけが等の自覚症状の中で、腰痛が男女ともに第一位になっています。
また、東京大学と日本臓器製薬が2019年に発表した調査を見ても、日本国内の腰痛による経済損失は年間3兆円にも上るという試算結果が出ています。
そんな、可能であれば誰もが避けたいと思っている腰痛の中でも、今回の研究は、3カ月以上痛みが続く慢性腰痛に着目したものです。
研究グループは、今回の研究以前にも、ソフトドリンクやスポーツドリンク、エナジードリンクなどの加糖飲料の摂りすぎが肥満や糖尿病などの健康に悪影響を及ぼすことや、加糖飲料の飲み過ぎと筋骨格系障害(骨密度の低さや通風など)との間に関係があることが報告されていることを述べています。
その一方で、加糖飲料の摂取量と慢性腰痛との関係を直接調べた研究がなかったことから、今回の研究に着手しました。
研究の対象は2009年から2010年の米国全国健康・栄養調査(NHANES)に参加した20歳から69歳の人たちでした。
分析に当たっては、加糖飲料の摂取量に関する回答がなかった者などは除外され、最終的に4146人が対象になっています。
加糖飲料については、対象者への食事記録インタビューをもとに評価され、ソフトドリンク、フルーツドリンク(100%ジュースは除く)、スポーツドリンク、エナジードリンク、スムージー、甘味のあるコーヒーや紅茶などの摂取量が含まれています。
また、分析では、結果に影響する可能性のある年齢、性別、人種/民族、教育レベル、体格指数(BMI)、喫煙状況、飲酒状況、身体活動レベル、病気(高血圧、糖尿病、癌)の有無、体内の炎症状態、摂取エネルギー量を考慮した上でも、加糖飲料の摂取量と慢性腰痛との関係を調べています。