一方で、元から発光していない停電状態のオス蛍がかかったとき、クモはこの一連の攻撃シークエンスを行いませんでした。

この結果からシンファ氏は、オニグモはすでに発光しているオス蛍であれば、その発光器官をハッキングして、メスの発光シグナルに変えることができるのだろうと結論しています。

そしてそのメスの発光シグナルを使って、さらなる獲物を意図的に誘き寄せていたと考えられるのです。

しかし、発光していないオス蛍を強制的に光らせる術は知らないようです。

オニグモの採餌戦略の図解
オニグモの採餌戦略の図解 / Credit: canva/ナゾロジー編集部

重大な謎として、チームはまだオニグモがオス蛍の発光シグナルをハッキングする仕組みを特定できていません。

現時点では、蛍に注入した何らかの毒素が原因で発光シグナルが変わるか、あるいは噛むこと自体で発光シグナルを変えている可能性が高いと見ています。

これほど高度な採餌戦略をクモが使っていたことは驚くべき発見です。

ただオス蛍の身になってみれば、せっかく求愛相手が見つかったと思ったのに自分が食べられることになるなんて、ゾッとするしかないでしょう。

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参考文献

Spider Species Uses Male Fireflies as Ghastly Puppets to Seduce Its Prey
https://www.sciencealert.com/spider-species-uses-male-fireflies-as-ghastly-puppets-to-seduce-its-prey

Spider exploits firefly’s flashing signals to lure more prey
https://www.eurekalert.org/news-releases/1054078

元論文

Spiders manipulate and exploit bioluminescent signals of fireflies
https://doi.org/10.1016/j.cub.2024.07.011