サスペンションへのテコ入れからの乗り心地
さて、ストロング・ハイブリッド化したことで車両重量は+50kg重くなり、サスペンションにも変更を加えている。ダンパー、スプリングは前後ともに変更し、またフロントのロワアームとブッシュの特性を変更し、外乱を受けてもトー変化を抑制できるように変更している。
こうした変更が加えられたクロストレックに事前試乗しており、そのフィーリングは現行のMHEVとはかなり違った印象を持った。
まず、動力性能においては動き出しからモーターで動くため、力強くそして静かに加速する。アクセルのやや早開きに似た印象だが、そこはトルクの立ち上がりの速さによるものと説明されている。モーター駆動は低中速域では積極的に使われるようで、エンジンでの走行はあまり感じない。
エンジンは高速道路等での一定車速走行時にエンジン走行になるケースが多いという説明で、今回試乗したスキー場の特設コースではそのあたりの体験はできていない。
そしてサスペンションの見直しとモーター駆動という新しい動き方になったため、既存クロストレックとは高級感というフィーリングも違うように感じる。これは音や振動に対する対策も入ったため、静粛性が高く、また重量増がしなやかさや重厚感といった方向に作用したように感じる。従来のクロストレックの軽快感とは違う印象を持った。
またAWDにも変更が行なわれているのだ。構造は機械式AWDで変更はないが、トランスファー部が油圧多板クラッチ方式から電子制御のAWDカップリングに変更されている。より緻密に素早くトルク配分の変更ができるわけだ。
こうしたダイナミック性能に影響する部分も大幅に変更しているためか、ライントレース性が高く、気持ち良いハンドリングに感じるのだ。操舵からの追い切りが必要なく、高い回頭性をみせてラインをトレースしていく。AWDのトルク配分コントールも影響し、ダンパー、スプリングのしなやかさもプラスされて、爽快感を伴うコーナリングが印象に残った。
タイヤはオールシーズンタイヤを標準装備としているが、今回の試乗コースではスタックしてもおかしくないほど緩い泥で覆われていたコースも難なく走り切るAWD制御には感心した。しかも深い轍があるにも関わらず、大きくハンドルを取られることなく、まるで戦車の如く突き進む突破力には驚かされたのだ。
また舗装路では改良されたサスペンションによりコーナリング限界が高くなっていると感じるが、オールシーズンタイヤを標準装着しているため、タイヤのほうが先に限界が来るという高いレベルに仕上がっている。
SUBARUは安全、安心と愉しさを提供価値とし、その価値を創出する技術には水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの基本技術が欠かせないと位置付けている。そしてCN社会に向けてはさまざまな手法があり、スバルなりの取り組み方でCN社会へ向けて車両を提供していくとしていた。
主要諸元
提供・AUTO PROVE
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