SUBARUクロストレックにストロングハイブリッドモデルが追加され、先行試乗してきたのでお伝えしよう。
クロストレックはスバルのラインアップの中でエントリーモデルに位置付けられ、台数も多く販売されるモデル。それだけに待ち望まれたのがフル・ハイブリッドモデルだ。これまではe-BOXERのマイルドハイブリッドしかなく、いわゆるフル・ハイブリッド=ストロングハイブリッドが望まれたわけだ。なお、このストロング・ハイブリッドはAWDのみの展開でFFには設定されない。
エンジンはFB25型の改良版
エンジンはFB25型をベースとしたハイブリッド専用エンジンとする2.5Lの水平対向4気筒エンジンだ。このFB25型は前型のフォレスターや北米で販売するクロストレックの自然吸気エンジンとして搭載しているもので、これをベースにハイブリッド用に改良したもの。
ハイブリッドシステムは発電用と駆動用モーターの2モーターを使ったシリーズ・パラレル式ハイブリッドとしている。ベースはトヨタのTHSⅡを縦型レイアウトに変更し、独自の制御プログラムで運転される。
このエンジンの狙いは動力性能と環境性能のバランスを取りながら、スバルが目指す安心と安全、愉しさの提供を目指したユニットになる。
環境対策としては、今後さまざまな規制が追加され、来たるユーロ7やTier4規制に向けて対策は進められているはずだが、今回のユニットがユーロ7に適合するかは不明。話は脱線するが、従来、エンジンは燃料を吹くことでシリンダー内を冷却していたが、ユーロ7では高負荷時の燃料増量が禁止されるため、従来方式の燃焼では規制をクリアできない。
そのため、今回のユニットを開発したエンジニアは、「ダウンサイジングターボのような考え方ではない方向で開発しています」と語っており、CB18型方式は難しくなるわけだ。
したがってこのユニットはアトキンソンサイクルではあるが、ストイキでの運転をメインとし、リーンバーンの領域は一部分に限られているという。だから160ps/209Nmという排気量に対しては非力なスペックとなっており、それをモーターで補うことになる。
THSⅡ改のシステム
駆動モーターはミッションとデフが一体になったトランスアクスルに接続され、270Nm/88kWの出力を発揮する。これに1.1kWhのリチウムイオンバッテリーをトランク下に搭載し、要求トルクに対してエンジンとモーターが分担して最も効率のいいトルクの出し方の制御としている。そして、もうひとつのモーターは発電用モーターで、回生エネルギーも担当している。
北米仕様のクロストレックにはPHEVがあり、そのPHEVでは、PCUをリヤに搭載している。リヤの荷室下燃料タンクの横に車載しているものを、国内仕様のハイブリッドではフロントに移動し、エンジンの上に搭載している。したがって、燃料タンクの大きさをサイズアップすることができ、容量を63Lまで増やしている。その結果、超長距離ドライブを可能にしているというわけだ。
ちなみに名称はe-BOXERと名乗り、従来のマイルド・ハイブリッドのe-BOXERも継続販売するので、名称の違いでは判別できず、どのような判別方法になるのか現時点では不明だ。