量子力学の多世界解釈とユングの集合的無意識を応用
研究チームは、量子力学の多世界解釈を根拠の一つとして挙げている。この解釈では、あらゆる量子イベントは複数の可能な結果をもたらし、それぞれが別の宇宙で展開されるとされている。
レオン教授は、サッカーの試合を例に挙げて説明する。
「ある宇宙ではあなたのチームが勝利し、別の宇宙では負けている。もしかしたら、夢を通して、私たちはそうした並行宇宙を訪れることができるのかもしれない」
そして、論理的思考や肉体的感覚から意識が解放される睡眠中は、特にそうした旅が可能になるのではないかと推測する。
さらに、研究チームは、意識が距離に関係なく粒子が相互作用する量子もつれと同様に機能する可能性を指摘する。これは、意識が並行現実にある自分自身の別のバージョンと関わる可能性を示唆している。
興味深いことに、この仮説は、かの有名な心理学者カール・ユングが提唱した「集合的無意識」の概念とも共鳴する。ユングによれば、人の異なるバージョンは、本能や先祖の記憶が詰まった共通の無意識を共有している可能性があるというのだ。
「夢は、個人の枠を超えた共通の物語を探求し、この集合的無意識にアクセスするための、精神の手段として機能している可能性がある」と、論文は締めくくっている。