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少し前の話になるが、KKR(国家公務員共済組合連合会)札幌医療センターの敷地内薬局の整備に係る薬局選定公募において情報漏洩があったとして、同センターの職員と大手薬局チェーン企業の幹部2名が逮捕、起訴された。

企業側が提案した土地賃料は他社より低額であったため同企業側を勝たせるために両者が情報交換をして、高い賃料に差し替えたという。また、公募の前からセンター側の要望が同社に伝えられていた、ともされる。これらの行為が刑法の公契約関係競売入札妨害罪(96条の6第1項)に当たるとされたのである。

ポイントは、この手続が公募であって入札ではなかったということである。昨年11月の初公判で、同センター職員は有罪であることを認めたが、企業側は「事実関係は認めたものの、弁護人が今回の公募は随意契約の一種で、「入札」にあたらないと主張。罪は成立しないと訴えた」(朝日新聞2023年11月13日記事より)。

また、同弁護側は、KKRは同罪の「公の競売又は入札」にいう「公」には当たらないとも主張しているとのことである(テレビ北海道2023年11月13日記事より)。札幌地裁の判決はまだ出ていない。

KKRは財務省所管の特殊法人であり、国家公務員共済組合法にその根拠がある。そこでその職員に対するみなし公務員規定が設けられている。「国等(の)入札等」という同様の要件が置かれている官製談合防止法には、「国等」に含まれる法人に係る要件が定められており(2条2号)、それには該当しないけれども、KKRは公契約関係競売入札妨害罪にいう「公」には該当するという判断が検察側にあったのだろう。