2022年1月には、ガスプロム元マネージャーのレオニード・シュルマン氏が、ヴォロノフ氏と同じサンクトペテルブルク郊外にある自宅の浴室で死亡しているのが発見された。同年2月には、ガスプロム副総局長アレクサンダー・チュリャコフ氏が同じ地域の別荘で首を吊っているのが発見された。同年4月には、ガスプロム銀行の元副頭取ヴァルディスラフ・アヴァエフ氏と、ロシア最大の民間ガス生産会社ノヴァテク社の元経営者セルゲイ・プロトセンヤ氏が死去した。2人とも最初に妻と子供を殺し、次に自分自身を殺したと言われている。アヴァエフさんの遺体と妻と娘の遺体は家族のモスクワのアパートで発見された。プロトセンヤさんは妻と娘を殺害した2日後にスペインの別荘で首を吊って自殺したという。5月にはアンドレイ・クルコウスキー氏が事故に遭った。同氏はガスプロムが運営するロシアのスキーリゾート「クラスナヤ・ポリャナ」のマネージャーを務めていた。捜査関係者によると、同氏は崖からハイキング中に転落死した、といった具合だ。
ロシアでは昨年8月23日、「24時間反乱」を主導した同国の民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏(62)が搭乗していた自家用ジェット機の墜落で死去したが、欧米諸国の指導者や大手メディアは墜落事故の背後にはプーチン氏の関与がある、という点でほぼ一致している。また、投獄中の著名な反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)は「プーチンのいないロシア」キャンペーンを開始し、「3月の大統領選ではプーチン氏以外の対抗候補者に投票して、抗議の意思を表示しようと」と呼び掛けたが、その直後から彼は一時期、行方不明となった(昨年12月25日、北極圏にあるヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収容されていることが判明した)。
ロシアではプーチン氏を支持しない政治家、実業家、著名人は即反体制派というレッテルを貼られ、その言動を封鎖するために最悪の場合、殺害される。大統領選が近づけば反体制派の口は様々な手段で閉ざされていく。プーチン大統領下のロシアは普通の国ではないのだ。そしてそのロシアを支援する中国、北朝鮮、イランといった国々も同様、もはや普通の国家とは言えなくなってきている。プーチン氏が発するウイルスは感染力が強い。欧米諸国でもそれに伝染した政治家、実業家が出てきている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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