ちなみに、DFBとアディダスは長い付き合いだ。アディダスはDFBの決定に驚き、「DFBから21日、協会が2027年から新たなサプライヤーを迎えることになると知らされた」と述べている。アディダスは独南部バイエルン州のヘルツォーゲンアウラハに拠点を置いている。
それでは一般国民、サッカーファンたちは今回のDFBの決定をどのように見ているだろうか。ドイツ民間ニュース専門局ntvによると、ファンの間ではDFBの決定に批判的なコメントがソーシャルネットワーク上で圧倒的に多い。「反逆罪だ」といったコメントもあった。スポーツ雑誌キッカーが22日午後に実施した継続的なオンライン調査では、参加者の90%が代表チームのユニフォームの変更は間違いだと回答している。
DFBが直面している問題はサプライヤーの変更といった経済的な問題以上に、ドイツ代表チームがファンの期待に応えていないことだ。
ドイツ代表は過去3大会で成績が振るわなかった。2018年のモスクワ大会と22年カタール大会年のワールドカップ、そして21年の欧州選手権では予選ラウンドで落ちた。日本チームはカタール大会ではドイツと同じ予選グループだった。そして2対1でドイツチームに勝利したことはまだ記憶に新しい。ビルドは「偉大で誇りあるサッカー王国の終わりを体験した」と嘆いたほどだ(「『サッカー王国』ドイツのW杯予選落ち」2022年12月4日参考)。
ちなみに、カタールW杯大会ではドイツチームの試合は散々だったが、同性愛者への連帯を表示した腕章を付けたことでホットな「文化論争」を引き起こしている。
もしドイツ代表が昔のように強いチームだったら、サプライヤーの変更問題でも批判に晒されなかっただろう。ドイツチームが本拠地ドイツで開催される欧州選手権で過去3大会のような成績に終わるようだと、DFBへの批判の声は更に高まることは必至だ。
参考までに、ドイツ代表チームは23日、フランス代表チームと、26日はオランダ代表チームと試合する。ドイツにとって地元主催の欧州サッカー選手権前のテスト試合だ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年3月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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