わが国経済は、アベノミクス路線を堅持し、コロナ禍にあっても金融緩和と大胆な財政出動により経済を下支えした結果、長らく500兆円前後に低迷してきた名目GDPはようやく600兆円に達し、6月の実質賃金が27か月ぶりに前年比プラスになるなど、30年間続いたデフレ脱却の大きなチャンスを迎えています。
利上げは時期尚早!日銀のミスは、政府がカバーせよ!ところが、8月2日の日銀の利上げ(総裁は更なる利上げをも示唆!)に端を発し、株式市場は極めて不安定な状況に陥り、日本経済の先行きに対する不透明感が急速に高まってしまいました。
ここで政策選択を誤れば、再び企業の投資意欲や生活者の消費マインドを冷やしてしまい、危急の課題というべき安全保障政策や子育て世帯への支援はもとより、近い将来、社会保障の持続性すら危うい状況になることは火を見るよりも明らかです。
デフレ脱却へ明確な政策指針を示した「骨太方針2024」日銀法にも明記されているように、日銀による金融政策は政府の財政政策と整合性を持ったものとしなければなりません。
8月2日の記者会見で、鈴木俊一財務大臣は「まだデフレ脱却に至っていない」と表明したばかりであり、先月閣議決定した2024年度の『骨太の方針』には「官民挙げて積極果敢な国内投資を行い、企業部門を貯蓄超過から投資超過へとシフトさせる」と明記されています。
しかし、本来マイナスであるべき企業の貯蓄率は現在もプラス(つまり、投資が鈍い状況)が続いており、グローバルな景気減速懸念の高まりでむしろ足元の企業貯蓄率は高まっています。
日銀の金融政策は、政府の財政政策と整合性を!現状を踏まえると、日銀の先の利上げ判断は拙速であると言わざるを得ず、デフレから完全に脱却するまでは金融緩和政策を続けることを強く求めます。
加えて、政府には、企業貯蓄率がマイナスになる(企業の投資意欲が旺盛になる)まで、必要な財政出動を躊躇しないこと明確にし、早期に大型の補正予算を編成することを求めたいと思います。