ではリーダーは自分の勢力範囲内の人に対してのみリーダーシップを持てばよいのでしょうか?

私はリーダーが発するオーラが国民に間接的に大いなる影響を与えるのだと思います。その一つは発信力でまずはビジョンを見せ、国民に共感と共鳴、そして一体感を醸成することが大事だと考えます。今はポピュリズム主流の政策展開ですが、これから1年、5年、10年、50年後の日本のあるべき姿を示してほしい、そしてその大枠の中で政権が目指す指針を聞いてみたいのです。

50年先のことなんて笑わないでほしいのです。今の20代、30代の人はほぼ必ずその時代を迎えるのです。年金なんて無くなるんでしょ、とか人口が凄く減ってどうなっちゃうのだろうといった今、あまり真面目に取り扱わない問題は彼らにとっては切実なのです。

日本は諸外国のように二大政党が根付く国ではありません。二大政党は概ね、支配層と被支配層の関係から生まれます。欧米なら資本家と労働者だし、権威主義の国家なら権威VS民主という対立軸でしょうか?ところが日本は国家成立の思想ベースは「労働する神様」なので平社員も社長も一生懸命働くし、清貧とか出る杭は打たれるといった平等主義、平準主義がある為、対立軸が生まれにくいのです。敢えて言うなら同業他社との激しい縄張り争い、これは無視できない対立軸ではないでしょうか?

とすればアメリカや韓国のように二大政党で選挙のたびに与党が変わったり、国家方針が右へ左へというブレも少ないのです。これは世界的に見ても稀な安定感であり、このアドバンテージを利用しない手はないのです。50年後の政権は誰だかわからないじゃないか、という意見はあります。自民党ではないかもしれません。ただ、国民はその理念が好きだという点では50年後も変わらない公算は高いのです。

そこを見据えたリーダーシップを取るのが上に立つ者の最低の与件です。企業の社長選びは派閥もありますが、基本は実力と人望です。一国の長に求められるのは様々な欲望と魑魅魍魎の世界の中における圧倒的な指導力かもしれません。