我々の業界で言えば、BYDを中心とした中国車に対する過剰な賛美こそが問題。20年前、欧州車と日本車を比較して「スペックだけ上回っても、クルマの本質の部分でまだまだ及んでいない」と言っていた人は、その同じ基準で中国車と日本車を比較していると言えるだろうか。走る・曲がる・止まるの過渡域のリニアリティみたいな部分で負けているとは到底思えない。

勇気を持つべきだ。自画自賛と言われたくないばかりに防衛姿勢を強めて「敵は強うござる。ご油断召さるな」みたいに言えば書き手の身は安全だ。厳しい目で見ている風に聞こえるし、結果がそうならなかった時には「諫言があればこそ勝てたのだ」と言える。

でもそういう言説の繰り返しが、高校生に絶望的な未来を植え付けているのだとしたら、自分の保身のためにそういうもの言いを続けて本当に良いと思うのだろうか。特に自分が発信者側にいるのであれば、真にフラットであることを自分の保身より優先させるべきだと強く思う。良い加減「ご油断召さるな」は卒業すべき時だと思うのだ。

そして何より、本当にBYDが優れていると思うなら自分の金で買えば良い。自分が自腹で買えないものに敗北宣言をするのはダブルスタンダードである。若者への影響を考えると風説の流布だとさえ言える。

もちろん、彼我の差は縮まりつつあるから、いつまでも無警戒にしている場合じゃないという意見ならわかるが、ならばそれをちゃんと精度良く書くべきだろう。安易に敗北宣言のような書き方をするべきではない。

今回の日経の記事も書いたのはギリシャの人。むしろこう言う記事を日本人が書けなくなっていることを端的に表していると言える。日経はもうオワコンの日本人に記事書かせるのをやめたら良いのではないだろうか。

編集部より:この記事は自動車経済評論家の池田直渡氏のnote 2024年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は池田直渡氏のnoteをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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