黒坂岳央です。

人生をそれなりに生きていると、他者の生き様を目の当たりにする機会が増えてくる。中には「どちらかというと豊かな生活を送っていたのに、まさかの事情でいきなり貧乏へ転落」という人もいる。そして一度でも貧しい生活に落ちた後はそこからはもう這い上がることができない、というケースをいくつも見てきた。

自分自身、両親が事業に失敗してシングルマザーで兄弟4人で育った貧乏で人生がスタートした。自身の経験も踏まえて「貧乏から抜け出す難しさ」について論じてみたいと思う。

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貧乏に対する罰

「貧乏な人は怠惰で努力しないから貧しい」と自己責任論で考える人は存在する。確かにそうした人はいるのだが、あまり知られていない事実に「貧乏であることの罰」が存在する。端的に言えば、「貧乏に落ちると時間がなくなってしまう」という本質的事情がある。

件の「元々豊かな生活をしていた人が貧乏に転落」という話を深堀りしよう。自分が実際に知るケースとしては、地元の名の知れた企業経営者の息子と結婚した女性がいる。結婚後は子供も3人授かった。しかし、ある日旦那と離婚、子供を抱えて市営住宅に移り住んだ。そこからあわててパートに出るも、彼女にはキャリアもビジネススキルもなくどうしても日雇いや単純労働の仕事しか見つけらず身を粉にして働くもなかなか豊かになれないでいる。

このケースは何が問題なのだろうか?まず、お金がないので市営住宅に住むしかなく、そこから勤務先までの長距離通勤になるので時短勤務になる。また、ハイスキルや経験を活かして高単価の仕事ができないので時給は安く、そこで子供が寝静まった夜間にWワークに時間を取られる。

さらに、食事は忙しいときは自炊と宅食、外食を組み合わせたいところだが、お金がないと自炊しか選択肢がないので買い物や調理、後処理に時間が取られる。スマホやPCが古くて激安機種しか使えないので、処理が遅くて時間を取られる。