マウスはフォースの使い手なのかもしれません。

以前からマウスは人には聞こえない「超音波発声」をすることが知られていました。

従来の説によると、この超音波は異性への求愛表現の一種だと考えられています。

しかし米バッファロー大学(UB)は最近、「マウスの超音波は空気中の粒子を動かしてクラスター化するために使われている」との大胆な仮説を提唱しました。

その様子を研究者はあたかもフォースの力で無数の小石を宙に浮かし、一つの大きな岩石にまとめる「ジェダイのようだ」と話しています。

では、マウスは何のために粒子をクラスター化させるのでしょうか?

研究の詳細は2024年10月1日付で科学雑誌『Neuroscience & Biobehavioral Reviews』に掲載されています。

目次

  • マウスは「超音波発声」を何に使っているのか?
  • 粒子のクラスター化で「嗅覚の能力」を高めている可能性

マウスは「超音波発声」を何に使っているのか?

マウスを含むげっ歯類に「超音波発声(ultrasonic vocalizations:USV)」の能力が発見されたのは1950年代のことです。

USVはヒトの可聴域を超えている音声であり、私たちには聞こえません。

研究者たちはUSVの発見以来、マウスが何の目的でそれを使っているのかを議論してきました。

その中で最も可能性が高く、多くの科学者の同意を集めているのが潜在的なパートナーへの求愛表現という説です。

マウス同士でのみ聞き取れる超音波を出すことで効率的に交尾相手を見つけ、繁殖に役立てていると考えられるのです。

これは今日に至るまで最も説得力のある仮説となっています。

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超音波は本当に求愛のためなのか / Credit: canva

しかしバッファロー大学で生体音響学を研究するエドゥアルド・メルカド3世(Eduardo Mercado III)氏は新たな調査で、この仮説が正しいものではない可能性を見出しました。